低温火傷に対する湿潤療法の経過について

湿潤療法とはどんなものか?

ラップ療法とも呼ばれていますが、傷口に食品用のラップを巻き付けて傷口の治癒を促進させる方法です。
傷をした時は消毒液、赤チンなどを塗布して包帯でぐるぐる巻きにするのが一般的な治療法でしたが、最近は傷口から出てくる体液を止まらせて湿潤させた状態を保つ方法が勧められています。

今回、カイロによって引き起こされた低温火傷の経過観察をする機会がありました。往診先の患者さんの了解を取り治癒過程を観察しておりますが、私は傷の処置ができませんので全て患者さんの自己責任で行っております。
一旦病院受診もされましたが、処置に納得がいかず湿潤療法を実施したいとの事。もし痛みが強くなる等の症状悪化が見られた場合は皮膚科を受診して頂くとの約束で経過を見させていただきました。
同じ様なトラブルが起こった方のお役に立てればとの患者さんのご意向がありました事、感謝申し上げます。

低温火傷とは。

実は私も5年ほど前に低温火傷を起こした事ああります。原因は湯たんぽ。。
早朝、激しい痛みとともに左下腿前部に大きな水ぶくれが出来ており、見事な低温火傷が出来上がっておりました。湿潤療法も知らず、消毒液を使用したりまともな手当をしなかったので治癒までに半年を要しました。下の写真は私の左足に残る火傷の痕。1年後にも痒みが出現するなどしつこい症状がありました。

低温火傷の痕

低温火傷は重症度によって1から3度火傷に区別されており、今回の症例は2度。3度火傷は湿潤療法は無効であり、直ぐに医療機関での手当が必要となります。重症例は感染から命取りになる可能性が高まるので絶対的な注意が必要です。

受傷後から治癒に至るまで

右肩部後方を低温火傷してしまった様子。こまめに洗浄してラップを貼り付けている様子です。

低温火傷4/19、受傷3日後水ぶくれが破れていた
低温火傷4/26 炎症反応が小さくなっている
低温火傷5/10 白い範囲が狭くなる
低温火傷5/18 炎症反応がかなり小さくなっている
低温火傷5/31 傷口は乾燥しているのでガーゼで保護するのみ
低温火傷6/7 ほぼ完治で火傷痕が小さい

約1ヶ月半でほぼ治ってしまい傷の痕が非常に小さく現在ではあまり目立たない状態となりました。今回は患者さんの選択した湿潤療法が良い結果となり、私の経験した病状とは全く異なる結果が得られて羨ましい程です。

<注意>
今回の症例は経過が良いですが、火傷の範囲や深さによっては治癒過程に差が出る場合もありますし、感染など引き起こすと危険な状態になることもありますので酷い低温火傷は必ず皮膚科などの病院を受診しましょう。

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