鍼灸師の方にも参考になれば幸いです。
当院では煙の少ないスモークレスのお灸を使用する事が多くあります。出張時にもスモークレスは煙と匂いが殆ど出ないので重宝します。スモークレスのお灸は比較的種類が少なく、現段階当院で使用しているものは以下の通り。
カマヤミニスモークレス、せんねんきゅう奇跡、大和漢響（ひびき）スモークレス。
３種類それぞれ特徴があり、使い方次第では安全に効果的にお灸の刺激を与える事が出来ると思います。
【評価として我々が注目すべきところは】
①安全性
②温熱刺激の強さ、持続時間
③価格
④販売の可否
このあたりでしょうか？
使用感などまとめてみようと思います。
○安全性について
お灸で気を付ける事は火傷です。
台座灸は皮膚の設置面に粘着物があり、皮膚から剥がれ落ちないようになっています。
多少動く位では大丈夫ですが、患者さんが化粧水、スキンオイル等を皮膚に塗っている場合は粘着力が著しく低下します。そのような場合はアルコール綿花で拭き取れば解決する事が多いです。
お灸本体の強度についてはせんねん灸奇跡が最も優れています。燃焼する炭化灸が台座に埋め込まれ、台座もかなり強硬です。響は接着剤で燃焼部が接着されていて、強度はせんねん灸奇跡には劣ります。燃焼時に鼻の効く人なら微かに接着剤特有の匂いを感じるかも知れません。ただ、簡単に剥がれる事はありません。
カマヤミニスモークレスは円筒型なので粘着力は前者に少々劣りますが、その分皮膚に優しいとも言えます。最近改善されたのか分かりませんが、程よい粘着で安全性は高いと思います。
○温熱の強さ、刺激持続時間
カマヤミニスモークレスは1種類
温熱刺激は比較的緩やかで点で刺激するより面で刺激する様な感覚です。火傷はこれまで起こした記憶はありません。
せんねん灸奇跡と響は弱、中、強の3種類がラインナップされています。
せんねん灸奇跡と響を並べてみると（写真左2個は響）響の方が太い炭化もぐさを使用しているのが分かります。燃焼時間は明らかに響の方が長く、強刺激の場合は火傷に対する注意が必要です。
響の高(強)を私の腕で試してみました。熱いのを我慢した結果、時間の経過に伴い水脹れが確認出来ました。下部写真↓
温熱刺激時間は響が最も長いです。
2日後↓
私がもしお灸を受けた場合、火傷は少々許容範囲ですが、一般の人はいかがでしょうか？
痕が残ればややこし事にもなりかねませんので、ここはしっかりとした説明を予め行う事が賢明でしょう。
因みにせんねん灸奇跡、カマヤミニスモークレスでも燃焼部を下部に向けると火傷を起こします。
○価格
1壮辺りの値段は響が最も安いです。
施術でかなりお灸を消費される施術者であれば響を選ぶのが良いかもしれません。
せんねん灸奇跡が最も高価でカマヤミニスモークレスは中間です。大量に購入すれば単価はかなり抑えられます。せんねん灸では季節毎のセール時に大量購入がベター。カマヤミニスモークレスは600壮入りが1番お得です。
○販売について
患者さんが家庭内で行うには安全性が1番重要な事になります。
扱い方をしっかりと教えなければなりません。
火を扱うので、火事、火傷には注意が必要です。手元で簡単に着火できるのはせんねん灸奇跡と響ですが、響は炭化灸が太い分、着火時間が長くなります。ターボライター等を上手く活用すれば比較的短時間で着火出来ます。商品としてはせんねん灸が最も種類が多く一般向けに特化されていると思います。
まとめ
響の強刺激は火傷に注意しましょう。
皮膚の強い箇所や途中で動かすなどの工夫をすれば問題無く使えると思います。
足底部、踵の失眠への刺激などには良いかも知れません。
患者さんが家庭でお灸を扱うのであればお勧めは、せんねん灸奇跡の弱、中。響の低、中刺激あたりでしょう。しっかり説明して利用されるのが良いでしょう。